

「声なき声を、仕組みで拾う」 離職率に課題があった現場がjobyで変わったこと
jobyを導入しようと思われたきっかけをお聞かせいただけますか?
2024年度、当院の看護師離職率は20%を超えており、「何か対策が必要だ」と強く感じていました。人材確保が年々厳しさを増すなか、“離職の理由を事後的に知る”のではなく、“その兆しを早期に捉えて手を打つ”仕組みが必要ではないかと考えるようになりました。
離職の背景には、業務量や待遇といったハード面だけでなく、日々のちょっとした不安や孤独感といったソフト面が影響していることも多くあります。とくに多忙な環境では、日々の対話や承認の機会が後回しになり、知らないうちに「聞いてもらえない」「わかってもらえない」と感じるスタッフが生まれてしまいます。そうした“声なき声”をどう受け止めるかに、組織としての成熟さが問われていると感じていました。
コミュニケーションは、組織文化を育てるうえで欠かせない基本でありながら、日々の業務のなかでは“具体的に何をすればよいのか”に悩む場面も少なくありません。そんなときに紹介されたのが、スタッフが月に一度、気軽に思いを言語化できるツール「joby」でした。
看護部長 茅根様茅根看護部長がずっと職員の方々のことを気にかけていらっしゃったのが伝わってきます。導入を決めたのはどんな点が決め手でしたか?
もちろん、何より大切なのは“普段からの直接のコミュニケーション”であり、それこそが管理職にとって最も重要な役割のひとつであると今でも思っています。しかし実際には、「話そうと思っていたのに、もう夕方だった」「ちょうど声をかけようとしたら、他の仕事で電話が来てしまった」――そんなすれ違いが日常的に起きているのも現実です。
jobyは、そうした“話すタイミングを逃した”スタッフの想いや、「ちょっと言いにくいけど、伝えたいこと」を拾い上げるための、もう一つの「耳」として機能してくれると感じました。
忙しい日常のなかでも、月に一度だけ立ち止まり、自分の気持ちを言語化する。
そして管理職はその声に対して、急かされることなく、丁寧に、時間をかけて応答することができます。
即断即決が求められる場面が増えている今だからこそ、“対人”のコミュニケーションには、あえて“ゆっくりと丁寧に返す”ことの大切さを改めて感じています。
また、jobyではストレスややりがいの尺度が数値で可視化されるため、スタッフの状態を客観的に把握しやすくなります。これにより、「最近ちょっと元気がないかも」と気になっていた職員が、実際に負荷を感じていることをデータとして確認でき、対応を早めることが可能になります。
これは、離職リスクの“早期探知”という意味でも、大きな強みです。
jobyの導入は、「声を聞く」「想いを見える化する」「きっかけをつくり、対話を生む」ための、新たな仕組みの第一歩だと捉え導入を決定しました。

実際に導入されてみて、一番大きく変わったと感じることはありますか?
正直、毎日管理職1人1人に時間をかけて話すことは難しいです。
その中で可視化された状態で意見や考えを見て、私の考えや想いを伝えられるのはありがたいですね。
職員のそのままの発言から、各職場長と共通の課題感を持つことで、職場長とも話す機会になった。
あとは、課題の可視化ですね。jobyを通じて、残業や研修に関する職員の声が初めて顕在化しまして。「こんなことを感じていたのか」と気づかされることが多かったです。
ストレスややりがいが数値で可視化されることで、「最近ちょっと元気がないかも」という感覚的な気づきを、データとして確認できるようになりました。対応を早める根拠になります。
印象に残っているエピソードがあれば、ぜひ聞かせてください。
前月にストレススコアでアラートが出ていた職員に対し、データをもとに先回りで声かけを実施しました。そうしたら、「ちゃんと見てくれているんですね」と喜んでいただけました。早期察知・早期対応の価値を、肌で実感した出来事でした。
それから、継続して回答していたにもかかわらず、2ヶ月間コメントが途絶えた職員のケースも気になっています。これまで継続して回答していた方が突然沈黙する——それは退職リスクのサインである可能性が高いと考えています。沈黙の変化を早めにキャッチすることで、手遅れになる前の対応が可能になっています。
コメントへの返信については、AI返信下書きサポートを活用することもあります。丁寧な返信が必要なコメントは、師長と状況を共有しながら一緒に考えるようになりました。管理職が「ありがとうございます」とお礼を言われる場面も出てきています。返信の丁寧さが、職員のjoby継続利用につながっている可能性があります。
(jobyは毎月、部下の回答と上司のお返しをするだけの超カンタン運用です)素晴らしい変化ですね。一方で、率直に感じている課題もありますか?
正直に申し上げますと、回答数がまだ少ないことが一番の懸念です。jobyアンケートも、底上げが必要な状況でして。離職率を下げるためにも関わってくる問題だと思っています。
職員の中には「jobyにはネガティブな意見を書かなければならない」と思っている方が一定数いるんじゃないかと。ポジティブな気持ちもちょっとした一言も歓迎している、ということをもっと伝えていかないといけないと感じています。まずは参加すること自体を習慣化してもらうのが次のステップですね。
課題はありますが、「声を聞く」「見える化する」「対話を生む」という仕組みをつくったこと自体の意味は大きいと思っています。これからも一緒に育てていければと思っています。
(院内ホール写真)同じ悩みを抱えていそうな病院へ茅根看護部長から一言お願いします。
採用も定着も、正直、答えのない問いと向き合い続けているようで、しんどいですよね。しかも、その重さをなかなか誰かに打ち明けられない日もあると思います。気づけば一人で抱えてきた、という方も多いんじゃないでしょうか。私自身も、日々そんな思いを抱えながら仕事をしています。だからこそ、「完璧な対策」にならなくても、まず一つ、声を拾う仕組みを持つだけでいいと思っています。試しにやってみようくらいの気持ちで十分です。新しいツールに頼っていい。私はそう思っています。

※各職員の方々の役職は導入当時のものです
joby担当者のコメント
茅根看護部長とお話を重ねる中で、何度も感じたのは、職員の皆さまを本当に大切にされているということでした。また、初回のお打ち合わせから一貫されていたのは、「現場を一人にしたくない」という想いでした。
「もっと早く気づいてあげたかった」
「ちゃんと見ていることを伝えたい」
その言葉の一つひとつに、管理職としてだけではなく、一人の人として現場に向き合われている姿勢が表れていたように思います。
私たちも、その想いに少しでも応えられる存在でありたいと考え、伴走してまいりました。
jobyはシステムではありますが、本質的には“人と人との対話を支えるための仕組み”だと考えています。
今後も、江戸川メディケア病院様とともに、現場に寄り添う組織づくりを支援してまいります。
